楽器を手にした経験がある方は多いと思いますが、音楽の楽しみ方は人それぞれです。

私はベースを手にしてかれこれ30年が経ちますが、30年前と比べて、ずいぶん楽しみ方は変化してきました。当初は「楽器を弾きたい」、つまり楽器を持っているだけでご機嫌!という原始的な感情でしたが、今は、

「音楽は、コミュニケーションだ。」

そのコミュニケーションこそが楽しい!と感じるようになりました。価値観がサルからヒトになった、という感じでしょうか。

人と人との間を媒介するという意味では言語と同じですが、言語のようなロジカルなものではなく、感覚や感情を伝えるもの。音楽にはそんな能力があります。

バンドは、他のメンバと音やしぐさなど、言語以外で会話し、演奏という共同作業をしています。アンサンブルという意味でのコミュニケーション、そして演奏を聴くオーディエンスとのコミュニケーション。ライブでは、この2つを感じながら演奏するわけです。

穏やかだったり美しかったり、悲しかったり力強かったり、そういう「気分」を、音楽の周波数に乗せて脳内に引き込んでくれます。すごいパワーですね。楽器をやっている人の大半は、演奏のうまい/下手を気にしますが、演奏技術はあくまで手段にすぎず、演奏において大事なのはこの気分を伝達できたかどうかだと私は考えます。